「アリアと種々の変奏」と題されていますが、バッハが音楽を手ほどきしたヨハン・ゴットリープ・ゴルトベルク(de:Johann Gottlieb
Goldberg)が不眠症に悩む元ロシア公使ヘルマン・カール・フォン・カイザーリンク伯爵(de:Hermann Carl von Keyserlingk)のためにこの曲を演奏したという逸話から「ゴルトベルク変奏曲」の俗称で知られています。しかし演奏には高度な技術が必要で、当時ゴルトベルクは14歳の少年であったことなどから???。
(TN) やはり後世の人が作った逸話かも?
この曲は、バロック時代の数あるほかの鍵盤楽器用の曲と同じく、ピアノが主流となった時代以降、20世紀初頭まで演奏されることは少なかったのですが、ワンダ・ランドフスカがモダンチェンバロによる演奏を録音し、高く評価されました。
そしてグレン・グールドがレコード会社に反対されながらもデビュー盤にこの曲を選択。1956年にリリースされたピアノ演奏のレコードは世界的な大ヒットとなったのです。
(TN) わたしこと「タッキーN」もこのCDを所持しており、いままでよく聞いてきました。(でも、なんとなくの聞き流しでした)
彼のその演奏はあまりにも完璧にしてスピード感ありすぎ、でも心地(ここち)よいが、なにか淡々としたクールな演奏、と感じていましたね。(曲名はゴルドでなくゴールドでした)
このグールドのピアノ演奏については、1982年急逝の直前の1981年に行ったデジタル再録音も広く知られているようですがわたしは残念ながら聞いていません。
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バッハ自身による表題は「2段鍵盤付きクラヴィチェンバロのためのアリアと種々の変奏」 (ドイツ語: Clavier Ubung bestehend in einer ARIA mit verschiedenen Veraenderungen vors Clavicimbal mit 2 Manualen) 。
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グールドのデビュー盤以来、変奏曲としては長大で、しかも高度な対位法技術を用いて作られた難解な曲なのになぜか脚光を浴び、チェンバロやピアノのみならず、編曲を施してギターや弦楽合奏などの種々の編成、さらにジャズでも演奏されるようになっています。
(TN) そう、まさに『バッハよ、永遠なれ』 / 『アヴェ・バッハ』です。
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◆ 楽曲の構成・DTM演奏方法など。
32小節から成る同じ“アリア曲”を最初と最後に配置し、その間にアリアの32音の低音主題に基づく30の変奏が展開されるので、全部で32曲となります。
(TN) なので全体としては実に大曲ですが、各変奏曲はそれぞれ32小節で、分解分析理解しやすく私にはDTM制作向けなのです。
第15、21、25変奏のみがト短調で他は主題と同じくト長調です。 また3曲ごとにセットになっておりその3番目はすべてカノンとなっています。第3変奏の同度のカノンから第27変奏の9度のカノンまで順次音程が広がり、第30変奏は10度のカノンではなくクオドリベットが置かれています。 また、第16変奏はフランス風の「序曲」と題され、後半の始まりを告げています。
(TN) そこで繰り広げられる変奏各30曲は実に多彩、決められた低音の上で和音の変化、テンポの変容を、そして、技巧的、内面的、抒情的、諧謔的、自由奔放、堂々、気まぐれ的や化け物的などなど・・・壮大な世界が惜しみなく展開されていきます。
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(TN) 各曲は16小節x2の2部構成で楽譜上では前半後半をそれぞれリピート指定されていますが、手元の3枚のCDの演奏はすべてリピートなしとなっています。今回は各変奏をじっくりと味わっていただきたく、ゆっくりとしたテンポの数曲をのぞき前半のみリーピートさせていく予定です。でも、最初と繰り返し演奏される最後のアリアはゆっくりとしたテンポですが前半部はリピートさせています。
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(TN) この曲の魅力のひとつは最後にもう一度冒頭の同じアリアに戻ってくることにあると思います。
それは回帰とよばれる状況でしょうね。そう、〔一巡りして元へ戻ること〕(a) revolution; です。のちのチャイコフスキーやアレンスキーなども使っていますが、その部分にくると、まるで旅に出ていろんな体験や心の成長を重ねたあと、再び帰るべきところに戻ってきたときのような感情が湧き上がってきます。松尾芭蕉の「奥の細道」の如く、また、いろんな人生をある時点で振り返った感にもにも共通しているのでしょうか。
(TN) 変奏曲のラスト3曲(var.28-30)は民謡が入っているような混成曲(別の曲が同時に演奏される)となっているようですが、そこまでたどり着けるか・・・未定です。
今はとりあえず第18変奏までできたので公開してしまいます。これでやっと半分を超えました。この後はどんな展開が待っているのか?ほんと気になります。
ただし、続編がいつ追加公開できるか?は・・・ う〜ん、反響待ちということでしばらくお待ちください。
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(TN) 参考としたCDのチェンバロ演奏はクリスティアーネ・ジャコンテですが、この奏者のことはよくわかっていません。ただ、演奏が「すなお」と感じ、テンポとアーティキュレーションの手本にさせてもらいました(もちろん完全に模倣はできていません)。他にはグスタフ・レオンハルトの(もう1枚のチェンバロ)CDの演奏も聞いています。DTMでの制作中ですが、いまはむしろこのレオンハルトの演奏のほうがなじめるようになっています。
(TN) でもどちらも共通して指とチェンバロが会話を楽しんでいるような・・・と言いますか、心地よい演奏です。
ただ、どちらも先のG・グールドの流暢なピアノ演奏とはかなり差があります。どちらかといえば“人間的でたどたどしく感じる“こちらのチェンバロ演奏の方がむしろ正統派的演奏とすべきなのかも、と思いつつも、耳から体に残っているグールドの演奏にも影響されたDTM表現となっていると思います。
(TN) タッキーNの演奏も気に入ってもらえればうれしいのですが・・・??? |